保育園には子どもたちがのびのびと遊べるグランド(園庭)の設置が義務づけられています。一般 的に土の園庭が多いのですが、本園では園庭が全面芝生になっています。芝生の園庭は土の園庭に
比べて下記のような利点があります。
1,安全性
園庭を芝生化する一番の利点は安全性にあります。子どもたちは外で遊ぶことが大好きです。かけ っこをし、すべったり、転んだり、のびのびと夢中で遊びます。土の園庭ですと日々子どもたちの
怪我、特に多いのが転倒による擦り傷が心配ですが、芝生の上では、芝生が天然のクッションにな り、衝撃が緩和されます。いきよいよく走ってこけても、怪我をすることがほとんどありません。
怪我を気にせずのびのびと遊べるようになりました。
2,温度上昇抑制
地球温暖化のせいでしょうか、夏場の暑さは年々耐え難いものになりつつあります。芝生は「水のカーペット」ともいわれるほど水分を多く含み、太陽の熱を吸収し、夏場の温度上昇を抑えます。
芝生と土のグランドでは最大10度以上表面温度の差があり、園庭を芝生化することにより夏場の エアコン使用時間が減ったとの報告もあります。
3,砂埃飛散防止
冬場など乾燥した時期になると土のグランドでは砂埃が舞い上がり、子どもたちの目や口の中に入ってきます。芝生の園庭では風が強くても砂埃がたたず、子どもたちの身体に優しい遊びの環境を
提供できます。
4,排水性
雨が降ると土のグランドはしばらく使用できなくなります。排水が悪ければ2〜3日はじゅくじゅ くした状態が続くこともあります。芝生は水分をすばやく吸収する性質があり、雨が降った後でも、 1〜2時間程度時間をおくと園庭を使用することができます。外で遊ぶことが大好きな子どもたちにとってこれはとてもうれしいことです。また、保育園にとっても行事の実施がやりやすくなります。
5,美観
春から夏にかけ芝生は活きよい良く成長していきます。夏場の芝生はとても綺麗で、青々とした芝 生には見る者の心を癒す効果があります。園庭の芝生化は子どもたちの情操安定につながるように 思えます。
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このように園庭を芝生化するメリットはたくさんあるのですが、反面下記のようなデメリットもあります。
1,管理が大変
水やり、刈り込み、施肥、草引き、目土、エアーレーション、病害虫への対応など芝生を維持管理 するには多くの手間と時間がかかります。保育園では安全性を優先し、できるだけ消毒薬、農薬類
を使用しないようにする必要があり、管理が大変になります。 また夏休みなどの長期間の休みがない保育園では、ほぼ一年中絶え間なく園庭を利用しています。
使用頻度が高い結果、芝生の損傷、特に踏みつけによるすり切れがひどく、補修にもおわれること になります。 もっともこの問題も管理をする人が「芝生好き」になればなんら問題のないことですが、、、。
2,冬場に枯れる
当園では、育成、管理のし易さを考慮し暖地系の高麗芝を使用しています。とても強くきれいな芝 生なのですが、問題点は冬場に休眠し、枯れてしまうことです。冬場の茶色の芝生も味わいのある
ものですが、やはり夏場の青々とした芝生とは比べることはできません。また、休眠中、痛んだ箇 所が回復することはなく、土にもどってしまうこともあります。それと、枯れた芝生が服につくの
は結構鬱陶しいものです。 冬場に枯れない西洋芝を使ったり、オーバーシードをすれば年中青々した園庭も可能と聞きますが、 西洋芝は管理が大変だし、オーバーシードも手間がかかりすぎます。
ただし、冬場に枯れる高麗芝ですが、クッション性は変わらず、怪我をすることなく遊べますし、埃がたたないという状態も夏場と変わりがありません。
3,線をかけない?
芝生の園庭になって困ったことは、地面に簡単に「線」をかけないということです。土の園庭ですと足や木の小枝を使って簡単に線を引くことが可能です。地面に線をかけば様々な遊びがすぐにで
きます。ところが、芝生の園庭では線を引くのが結構大変です。コーンを置くなどをし線の代用をすることは可能ですが、やはり土に線を引くという手軽さにはかないません。
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このように園庭を芝生化するメリット、デメリットがあります。保育園に芝生のグランドと土のグラ ンドがあれば理想なのですが、そうはなかなかいきません。 当初、芝生化のデメリットを恐れためらっていたのですが、園庭を芝生化してはや3年目に入ろうと しています。結論は色々問題はあるけれど「してよかった」ということでしょうか。これからも全国 の学校、保育園などで運動場、園庭の芝生化が進んでいくことを願っています。
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